はじめに

ネットを徘徊して高金利通貨を扱ったFXのブログを見ていると、時々ですが『メキシコペソは比較的安全な通貨』という記述に出会います。僕はスワップポイントに惹かれてメキシコペソ円を約1年持っていますが安全な通貨という認識は全く持っていないのでちょっと違和感を感じていました。「比較的」と言うからには他の通貨と比べてるんだろうけど何の通貨と比べてるのだろう?とか。

そこで今回は、メキシコペソは本当に安全な通貨なのかどうなのか、それを検討してみようと思います。もちろん数字的な裏付けを伴ったデータとしてね。

安全な通貨とは?

まず初めに安全な通貨とは何かを定義しておかないといけません。FXにおいて最も気を付けなければならないのが強制ロスカット。多分これについてはあまり異論はないと思います。強制ロスカットを喰らってしまったことのある方なら大きく頷いて頂けるでしょう。強制ロスカットが最もダメージがでかく最も避けるべきことであるならば、強制ロスカットを喰らいやすい通貨が『危険』であり、強制ロスカットを喰らいにくい通貨が『安全』と評価することができるはずです。

強制ロスカットは口座の証拠金残と保有ロット数、つまりレバレッジでそのレベルが変わってきますが、同じレバレッジでポジションを取るのであれば通貨の暴れ具合、つまり通貨のボラタリティーでロスカットされやすい、されにくいが決まるはずです。そこで当記事では、

ボラタリティー高・・・非常に危険
ボラタリティー中・・・結構危険
ボラタリティー低・・・普通に危険

と判断することにします。FXで安全な通貨ペアってないですからボラが低くても『安全』って言葉は使わないようにします。ということで通貨のボラタリティーを調べることにしました。尚、最もボラタリティーの高い通貨には『暴れん坊将軍』の称号を与えることにします。まぁ、調べる前から暴れん坊将軍はあの通貨だろうなぁと予測が立ちますが(苦笑

調査条件

対象通貨ペア:USD / EUR / GBP / CHF / AUD / NZD / CAD / MXN / ZAR / TRY とJPYの10のクロス円ペア

2018年5月1日から2019年5月20日までの約1年間で、クロス円の期間高値と期間安値(みんなのFXのBid値)を調べ、[(期間高値)/(期間安値)]-1を計算しそれを『高値/安値率』と定義することにします。当然この高値/安値率が高ければ高いほど高値と安値の乖離が大きくボラが高くて危険な通貨と見なすことができます。

尚、本来であればクロス円で調べるのではなく、世界の基軸通貨であるUSDを基準としたドルストレートで比較すべきかと思いますが、スワップポイント狙いの一般人がメキシコペソをUSDMXNで持っていることはまずなく、MXNJPYで持っている場合が殆どですので今回はクロス円で調べることにしました。

調査結果

調査結果をまとめたのが以下の表になります。高値/安値率の降順でソートしています。

1位は断トツです。そう、想像通りのあの通貨(苦笑。76.94%と異次元の数字を叩き出したトルコリラ円です。まぁこれはしょうがないですね。
暴れん坊将軍はトルコリラ

トルコリラ円はチート過ぎるので、残り9つの通貨ペアで上位3つ、中位3つ、下位3つに分けてみます。

上位3つは南アランド円、豪ドル円、メキシコペソ円でした。3つといっても南アランドがちょっと抜けてます。豪ドル円とメキシコペソ円の差は僅か0.53%でありほぼ同程度のボラタリティ。この2つは同程度の非常に危険な通貨と言えるでしょう。チートのトルコリラ、南アランド、メキシコペソ。高金利通貨御三家と言われる通貨が全て非常に危険な通貨以上となりました。高金利通貨はスワップポイント狙いで長期間ホールドされることが多いですが非常に危険な通貨を長期間保有するリスクを十分に理解して、腹を括って参戦した方がいいですね。安易にポジション持ってはいけないんです。

次に中位3つ。加ドル円、英ポンド円、新ドル円となりました。『殺人通貨』の異名を持つ英ポンド円は意外や意外のど真ん中。加ドル円の下でした。ブレグジットのニュースで乱高下の印象が強い英ポンドさんですが実は加ドル円よりも大人しいみたいですね。

最後に下位3つ。ユーロ円、スイスフラン円、米ドル円の順でした。スイスフランは2015年1月に起きたスイスフランショック(EURCHFが20分で3800 pipsの大暴落)の印象があるので意外でした。スイスは永世中立国で政治的には比較的安定してるんですよね。米ドル円は本当に動きが鈍い。鈍い鈍いとは思っていましたが本当に鈍かった(苦笑

結果考察

メキシコペソ円は決してボラタリティの小さい安全な通貨ではありません。というか、寧ろ高い通貨であることが分かると思います。では何故『比較的安全な通貨』と言われたりするのでしょう。

それはメキシコペソ円がレートの低い通貨ペアだからではないでしょうか。株式投資を長くやっていた僕がFXを始めて感じた最初の違和感がトレードの結果を『pips』という『差』で表現することでした。これはいい悪いではなくFXってそういう文化なんだと理解しました。株の場合は値幅の『差』で表現することはほとんどなく、普通は『率』なんです。値上がり率とか値下がり率とか。メキシコペソ円は最高値と最安値の差が約1円なので100 pipsの差となります。一方レートの高い英ポンド円は最高値と最安値の差が約20円、2000 pipsの差となり、メキシコペソの20倍も差があるとなってしまいます。ここで勘違いが発生したのではないかと。

そもそもレートが極端に違うメキシコ円と英ポンド円を修正もせずに同じ土俵で比べること自体がナンセンスです。両通貨にとって『1 pips』の価値は全然違うのですから。普通FXでポジションを取る時、投下資金を決め、レバを決め、保有するLotを算出します。メキシコペソ円のレートは英ポンド円のレートの1/20以下なのですから保有するLot数は20倍以上になるはずです。従って同じ『1 pips』であってもメキシコペソ円の方が20倍以上の価値があることになります。FXも引き算である『pips(差)』ではなく割り算である『率』で考えた方が合理的な気がします。

また疑問だった『比較的安全』の比較的が何と比べているのかがわかりました。はい、トルコリラ円です。南アランド円の可能性も捨てきれませんが、まず間違いなくトルコリラ円!何故ならトルコリラは
暴れん坊将軍だから(キリッ
次元の違うトルコリラと比べること自体が間違ってますけどね(苦笑

まとめ・提言

メキシコペソ円は決して安全な通貨ではありません。手を出すなら英ポンド円以上に慎重になるべきです。ましてやスワップポイント狙いだと長期保有し続けることが前提となりますので、レバレッジは低めに設定して強制ロスカットを喰らわないように気を付けるのがいいと思います。

では最後に一番重要なことを書きますね。
安全な通貨ペアなどない!
やるなら心して参戦すること!でないと・・・